書誌事項
- タイトル別名
-
- Seedlessness Induced by Gibberellic Acid in Large-sized Berry Grapes
- オオツブケイ ブドウ ノ ジベレリン ショリ ニ ヨル ムカクカ ニ ツイテ ノ イチ コウサツ
この論文をさがす
抄録
<p>大粒系ブドウの無核化のための第1回目のジベレリン(GA)処理が,‘デラウェア’ でのそれと異なり,満開期~満開3日後の処理で実用化できている理由を明らかにすることを目的として本実験を実施した.そのために,まず大粒系ブドウの ‘巨峰’,‘ピオーネ’,‘ハニービーナス’,‘シャインマスカット’ および ‘藤稔’ の5品種を用い,GA無処理区とGA処理区の2区について,それぞれの品種の果房の有核果粒率を調査したところ,‘巨峰’ と ‘ピオーネ’ ではGA無処理の果房でも有核果粒率が顕著に低く,これまで報告されていたように,これら品種では受精が困難な要因が存在していることが明らかとなり,このことが満開期でのGA処理により無核化できる主要因であることが確認できた.これに対して,‘ハニービーナス’,‘シャインマスカット’ および ‘藤稔’ ではGA無処理果房の有核果粒率は60.3%~71.6%と高く,開花期には受精できる状態であることが示された.ただ,これら品種でも満開期のGA処理によって,いずれの品種でも有意に有核果粒率が減少した.このことは,これらの品種では第1回目の満開期のGA処理が,受精後の胚発育に影響を及ぼしている可能性を示唆した.さらに,満開期に受精が困難な状態になっている ‘ピオーネ’ と満開期に受精可能な状態が整っている ‘ハニービーナス’ を用いて,満開期前の花蕾中のジベレリン活性を生物検定によって経時的に調査したところ,‘ピオーネ’ では ‘ハニービーナス’ と比較して常に高かった.このことは,‘ピオーネ’ での開花期に受精が困難となる要因とされている胚のう組織の発育不全などが,内生ジベレリン活性が高いことに起因して生じる可能性を示した.以上,本実験から,大粒系ブドウの満開期でのGA処理による無核化には2つのタイプがあることが明らかになった.1つ目のタイプは,‘巨峰’ および ‘ピオーネ’ のように,品種特性として開花期に受精できない条件が備わっている場合で,2つ目のタイプは,‘藤稔’,‘ハニービーナス’ および ‘シャインマスカット’ のように,満開期のGA処理によって受精後の胚発育が阻害される場合である.なお,このGAによる胚発育の阻害程度は品種によって異なっていた.</p>
収録刊行物
-
- 園芸学研究
-
園芸学研究 20 (2), 199-205, 2021
一般社団法人 園芸学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390570010597415296
-
- NII論文ID
- 130008059249
-
- NII書誌ID
- AA11608561
-
- ISSN
- 18803571
- 13472658
-
- NDL書誌ID
- 031429292
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可