日仏美術品交換の企図と挫折(1882-1885):外務省記録から見る国際文化交流の事例として

書誌事項

タイトル別名
  • Attempts and Setbacks in the Exchange of Artworks between Japan and France (1882-1885): A Case Study of International Cultural Exchange based on the Records of the Ministry of Foreign Affairs
  • ニチフツ ビジュツヒン コウカン ノ キト ト ザセツ(1882-1885) : ガイムショウ キロク カラ ミル コクサイ ブンカ コウリュウ ノ ジレイ ト シテ

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抄録

<p>近代化の装置としての博物館におけるモノの移動を通した国際文化交流の事例として、外務省外交史料館に所蔵されている史料「日仏両国間ニ於テ美術品選択交換約定一件」(1882-1885)をもとにした考察を行う。ルーヴル美術館に「日本室」を作るために、日仏間で美術品交換を行うというフランス側からの提案は、日本側にも承諾され、いったんは交渉が妥結したが、最終的に決裂した。この経緯から、第一に、文化交流が政治や外交の外部にあるという先行研究の前提と異なり、文化と外交は不可分の課題であったことがわかる。第二に、交換品についての両国の認識から、「美術」の捉え方にも関わる齟齬が読み取れる。両国ともに産業に役立てる狙いは共有していたとはいえ、技術進歩のために工芸品を求めた日本側に対して、フランス側は日本の歴史的物品にある芸術的価値を認め、その意匠を取り入れることを意図して、古美術品を獲得しようとした。</p>

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