権威主義体制における裁判所 :

書誌事項

タイトル別名
  • Court in an Authoritarian Regime:
  • 権威主義体制における裁判所 : マレーシアにおける違憲判決と政治的自由
  • ケンイ シュギ タイセイ ニ オケル サイバンショ : マレーシア ニ オケル イケン ハンケツ ト セイジテキ ジユウ
  • Unconstitutional Rulings on Laws Restricting Political Freedom in Malaysia
  • マレーシアにおける違憲判決と政治的自由

この論文をさがす

抄録

<p>権威主義体制における司法は, 行政や立法に対する恭順的態度により特徴づけられるといわれている。しかし, 長期にわたり権威主義体制が持続してきたマレーシアでは, 裁判所が政府の意思に反する判決を出すことがある。権威主義体制の司法は, なぜ立法や行政に 「反抗」 するのか。</p><p> 本稿は, 2010年代に相次いだ政治的自由を制限する議会立法に対する違憲判決を事例として, この問いに答える。従来, マレーシアの裁判所は, 自らの役割を厳密な文言解釈に限定し, 議会立法の合理性を審査しない傾向にあった。しかし, 2010年代, 控訴院は 「合理性」 や 「均衡性原則」 を根拠に, 大学・大学カレッジ法, 平和的集会法, 扇動法の3つの議会立法を違憲と判断した。</p><p> このような判決は, (1) 2000年代以降, 自由主義的憲法解釈が蓄積されたこと, (2) 複数の裁判官が自由主義的判決を出し, 引用することで, 裁判規範を転換させたことで可能になった。違憲判決を出したのは, 連邦裁判所への昇進の見込みが限定的, もしくは, 定年を間近に控えており, 行政に対して恭順的な態度を示す必要はなく, また, 退職後に反対派の弁護人として活躍する機会が見込まれる裁判官であった。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 69 (1), 1_123-1_146, 2018

    日本政治学会

参考文献 (5)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ