免疫寛容を受けていない精巣抗原遺伝子の同定

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  • Identification of specific genes for untolerized testicular antigen in adult male mice

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<p> 精巣には、精祖細胞・精母細胞・精子細胞・精子の一連の生殖細胞群が存在するが、このうち精子細胞・精子は、免疫系の発達以降に分化成熟するため、精子を含む雄性生殖細胞(Testicular germ cell: TGC)には多くの非自己として認識される抗原分子が含まれている。しかしながら、精巣はセルトリ細胞間によって形成される血液精巣関門により血管系から隔離された特殊な環境を維持することによって生理的にも免疫学的にも護られていると考えられている。我々は、同系マウスから採取したTGCを皮下に2回注射するだけで精巣炎を誘導する実験的自己免疫性精巣炎(Experimental autoimmune orchitis: EAO)モデルを開発し、解析を行ってきた。本研究では、TGCに含まれる遺伝子情報からファージライブラリーを作成し、ファージディスプレイ法を用いてTGC特異的自己抗原の同定を試みた。この結果としてTGC感作マウス血清抗体に特異的に反応する20種の抗原候補分子を検出した。これらの候補抗原分子においてreal-time PCRを用いてその性状を解析し、その中で、精巣内に、特にTGCに特異的に発現している9種の抗原候補分子の遺伝子についてそれぞれFLAG融合タンパク質発現プラスミドを作成した。作成したプラスミドをHEK293T細胞に形質導入し、タンパク質を産生後、ウエスタンブロット法によって抗FLAG抗体、EAO血清抗体との反応性を確認した。この実験にて、9種のうち2種の候補タンパク質がEAO血清抗体と特異的に反応することが明らかになった。以上の結果から、本研究にて同定したEAO血清抗体に特異的に反応する2種の遺伝子が自己免疫精巣炎を誘導するTGC特異的自己抗原候補分子である可能性が高いと考えられる。</p>

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