術前診断し得た高齢女性の子宮捻転の1例

  • 田邉 文
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科
  • 山崎 友維
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科
  • 黄 豊羽
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科
  • 小嶋 伸恵
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科
  • 森田 宏紀
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科
  • 田中 宇多留
    公益財団法人甲南会甲南医療センター放射線科
  • 武内 享介
    国立病院機構神戸医療センター産婦人科
  • 登村 友里
    公益財団法人甲南会甲南医療センター産婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • Preoperative diagnosis of the uterine torsion : a case report
  • ジュツゼン シンダン シエタ コウレイ ジョセイ ノ シキュウ ネンテン ノ 1レイ

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抄録

<p>子宮捻転は子宮が長軸に沿って45度以上回転したものと定義される.非常にまれで,症状も非特異的であることから術前診断に苦慮することが多い.今回術前診断が可能であった閉経後子宮捻転の1例を経験したので報告する.78歳女性,3妊2産,突然の右下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部超音波検査にて骨盤部腫瘤を指摘され精査加療目的で当院紹介となった.腹部CT検査にて子宮底部右側に8 cm大の石灰化した子宮筋腫と子宮頸部に渦巻き状に捻じれるような構造を認めた.さらに,造影骨盤MRI検査を施行したところ,単純CT検査では右側に認めていた子宮筋腫が左側に移動し,子宮体部は造影不良で虚血を疑う所見であった.子宮捻転による子宮筋層の壊死を疑い,緊急開腹手術を実施した.子宮体部と両側付属器は子宮峡部を中心に630度捻転しており,暗赤色調に変化していたため子宮壊死と診断し,子宮全摘ならびに両側付属器切除を実施した.術後経過は良好で9日目に退院となった.この症例においては,閉経後,女性に発症する子宮捻転は腫大した子宮筋腫により子宮が牽引されることに加え,加齢に伴う子宮支持組織の脆弱化等により起こると考えられている.子宮筋腫を有する高齢女性が下腹部痛を認める場合には,本疾患を鑑別として考慮に入れることが重要であると考えられた.〔産婦の進歩73(3):277-282,2021(令和3年8月)〕</p>

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