臍部子宮内膜症に対して手術を行った2例

書誌事項

タイトル別名
  • Two cases of surgery for umbilical endometriosis
  • サイブ シキュウ ナイマクショウ ニ タイシテ シュジュツ オ オコナッタ 2レイ

この論文をさがす

抄録

<p>臍部子宮内膜症は比較的まれな疾患であるが,薬物療法で完治させることが難しく手術療法が必要になることが多いが,適切な手術方法は十分確立していない.今回われわれは,手術療法を行った臍部子宮内膜症2例についての手術方法とその考察を報告する.症例1は45歳.3妊3産,1年前に直径19 cmの右卵巣粘液性腺腫に対して,当科で下腹部正中切開腹による右付属器摘出術を行った.術後検診で左卵巣子宮内膜症性嚢胞を診断され,1年6カ月後に7 cmに達した.また,術後早期より臍部に有痛性の硬結の増大を自覚し,生検で子宮内膜症と診断した.今度は,臍の円柱状切開による臍全摘と単孔式腹腔鏡下左卵巣嚢腫摘出術および臍形成術を実施した.術後はジエノゲスト療法を開始し,9カ月後に薬疹のため中止したが,術後4年9カ月まで再発を認めていない.症例2は38歳,3妊2産,月経時出血を伴う直径3 cmの臍部腫瘤を認め,生検で子宮内膜症と診断した.同様に,円柱状切開による臍全摘と単孔式審査腹腔鏡・臍形成術を実施した.腹腔内に子宮内膜症は認めず術後薬物療法は行っていないが,術後1年7カ月まで再発を認めていない.臍の輪状切開は,硬結を触知しながら内膜症病変を露出させずに皮膚・皮下脂肪・筋膜・腹膜を一塊として切除することができ,単孔式腹腔鏡と併用することも容易なため,臍部子宮内膜症の根治的手術として適切であったと考えられた.〔産婦の進歩73(3):321-327,2021(令和3年8月)〕</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ