ヒト肝細胞キメラマウスを用いた化学物質による肝発がんのヒト外挿性評価

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タイトル別名
  • Evaluation of the human relevance of chemically induced liver carcinogenesis by using chimeric mice with human hepatocytes

抄録

<p> 化学物質のヒトにおける発がん性は、主として実験動物(げっ歯類)を用いた発がん性試験の結果から判断されている。しかしながら、げっ歯類の発がん性試験における陽性結果がヒトには外挿できないケース(偽陽性)が少なくないことがこれまでに分かってきている。そのため、化学物質によりげっ歯類で発がん性が認められた場合には、その動物における発がんの作用様式(Mode of Action, MOA)の解明およびその種差を調べることによりヒトへの外挿性を評価することが、化学物質のヒトへのリスクアセスメント上、非常に重要となっている。</p><p> 本会では、合成ピレスロイド殺虫剤(metofluthrin, momfluorothrin)を用いたラット発がん性試験にて認められた肝細胞腫瘍について、In vitro肝細胞培養系、核内受容体Constitutive androstane receptor (CAR)のノックアウトラット、ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス)など種々の実験モデルを用いて実施した、詳細なヒトへの外挿性評価を紹介する。</p><p> CAR activatorのphenobarbital (PB)を陽性対照とし、遺伝子変動、酵素活性等の解析や、細胞増殖活性を含む病理評価を行った。その結果、いずれの殺虫剤もPBと同様にCARの活性化を介してラット肝細胞の増殖を亢進し、肝発がんを誘発したことが明らかとなった。一方、PXBマウスではヒト肝細胞の増殖亢進はみられなかった。以上、上記殺虫剤によるラット肝発癌MOAはヒトとの相関性はないと結論付けられ、その評価は欧州規制当局にも受け入れられた。特に、ヒト肝細胞キメラマウスを用いた手法は、ヒト肝細胞に対する化学物質の影響を評価する上で非常に有用と考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390570486222366464
  • NII論文ID
    130008073772
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_s15-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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