庄内水田農業の現段階

書誌事項

タイトル別名
  • Present Stage of Shonai's Paddy Agriculture
  • 庄内水田農業の現段階 : 構造変動の歴史的パターンは変わるのか?
  • ショウナイ スイデン ノウギョウ ノ ゲン ダンカイ : コウゾウ ヘンドウ ノ レキシテキ パターン ワ カワル ノ カ?
  • : Does the Historical Pattern of Structural Change Transform?
  • -構造変動の歴史的パターンは変わるのか?-

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説明

<p>本稿の課題は,全国的にも有数の水田地帯である,山形県庄内地方における構造変動の現段階的特質を明らかにすることである.庄内地方では,生産力段階に対応した「中規模層」によるスケールアップと,彼らを支える集落を基礎とした「集団性」,及び戦後段階における経営複合化に特徴づけられる,構造変動の歴史的なパターンが形作られてきた.それが現段階において変化を見せているのかが吟味の対象となる.本稿では,旧鶴岡市における実態調査を中心として分析を進めていく.検討の結果,庄内農業における構造変動の歴史的パターンは,基本的には「変わっていない」と結論付けられた.2005-10年に観察された大規模組織経営体への急速な農地集積の進展は,経営所得等安定対策に対応するためのイレギュラーな動きに過ぎず,10-15年には従来通りの中規模層中心の構造変動へと復帰した.しかしながら,戦後段階を特徴づけた経営複合化の動きは失われつつあり,かわりに米・大豆等を中心とした粗放的で急激な規模拡大が進みつつある.経営複合化を伴う従来の中規模層(10-20ha層)は存立基盤を狭めていく一方で,粗放的に規模を拡大していく経営(20-50ha層)が,今後の庄内農業のもう1つの担い手のあり方となる可能性が高い.以上の動きは,地域内の内発的な動きよりも,政策が構造変動に与える影響がより大きくなりつつあることの帰結でもある.</p>

収録刊行物

  • 農村経済研究

    農村経済研究 36 (1), 15-24, 2018-07-01

    東北農業経済学会

参考文献 (3)*注記

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