教員と学校図書館担当者の協働に求められる組織構成員の能力の育成

書誌事項

タイトル別名
  • Fostering the ability of organizational members such as teachers and school library staff to cooperate
  • Based on Senge’s “learning organization” pphilosophy
  • センゲの「学習する組織論」の視点から

抄録

【目的】学校教育において学校図書館活用教育が十分に定着していない理由は,学校図書館が学校の下位組織であるにも関わらず,学校と学校図書館に組織的な連携がないことによると考えられる。そこで本研究では,学校と学校図書館の組織的課題を踏まえ,両組織間の連携の基盤となる教員と学校図書館担当者(司書教諭,学校司書)の協働に着目し,組織の構成員が協働を生み出すために学習すべき能力を検討し,それを育成する具体的な方法を考察することを目的とした。【方法】学校教育における教員間の協働の消失や学校図書館活用教育における教員と学校図書館担当者の協働不足の要因を明らかにするために,学校と学校図書館の経営に関する文献研究を行った。次に,経営学における組織論を比較検討し,これらの要因を改善するために適用する組織論を理論的に検討し,センゲの「学習する組織論」を選択した。そして,この「学習する組織論」の視点から,両組織構成員が協働を生み出すために必要な能力とその育成法について考察した。【結果】教員と学校図書館担当者間に協働を生み出すには,組織構成員に3つの能力(3つのコア・コンピタンス):①志を育成する能力,②省察的に対話する能力,③複雑性を理解する能力が必要であり,組み合わせて使うことで高い効果を上げることができる。その育成には,①自己マスタリー:個人のビジョンを構築すること,②共有ビジョン:集団のビジョンを構築すること,③メンタルモデル:個人の固定観念を乗り越え省察的な対話をすること,④チーム学習:チーム力を創り出すこと,⑤システム思考:全体像を見ることで本質を見出すことの5つの方法(5つのディシプリン)を組織構成員がそれぞれ実行することにより可能であることが考察された。組織構成員間に協働が構築されると,学校と学校図書館は学習する組織に改革され,組織間の連携が生み出されることが示唆された。

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参考文献 (1)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390570852933637504
  • DOI
    10.46895/lis.82.23
  • ISSN
    03734447
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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