腎移植患者におけるエベロリムス投与後の脂質異常症発現の機序解明

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抄録

<p>【目的】mTOR阻害薬エベロリムス (EVR) の副作用に脂質異常症があるが、機序解明に繋がる臨床データは少ない。今回LDLコレステロールとその上昇に関与するPCSK9濃度に及ぼすEVRの影響と、mTORC1及びPCSK9遺伝子多型の影響について検討した。【方法】腎移植患者53名を対象に、患者背景、EVR血中濃度、PCSK9濃度を調査した。さらにmTORC1及びPCSK9遺伝子多型との関連を解析した。【結果】EVR投与後のPCSK9濃度は投与前に比べ有意に高く(214 vs 295ng/mL、P=0.004)、EVR AUC0-12とPCSK9濃度変化率との間に有意な相関が認められた (r=0.316、P=0.021)。加えてEVR投与後のPCSK9濃度変化率がmTORC1 rs2295080Gアレル保有患者で有意に高かった(P=0.006)。一方、PCSK9遺伝子多型およびLDLコレステロール濃度変化率は、PCSK9濃度変化率と相関しなかった。多変量解析よりmTORC1 rs2295080Gアレル保有患者、EVR AUC0-12、及び女性においてEVR投与後のPCSK9変化率の上昇に独立性が認められた。【考察】EVR誘発脂質異常症はPCSK9を介した機序が示唆された。さらにLDLコレステロール上昇は、PCSK9上昇と同時に起こるのではなく、その後徐々に上昇すると考える。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 369_2-369_2, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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