エホバの証人信者ペアに対する生体腎移植の1例

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抄録

<p>【背景】エホバの証人は国内に約21万人いると言われ, 手術治療を行う際の輸血拒否が問題となる. 今回ドナー及びレシピエントが共にエホバの証人であるペアの生体腎移植を行い良好な経過を得たので, 考察を交え報告する.【症例】レシピエントはエホバの証人である41歳女性. 原疾患は不明であるが既往に高血圧症がある. 15歳頃から血尿を指摘. 32歳時頃に血清Cr値が5mg/dlほどの高値を認めるようになった. 37歳時に当科外来初診となり, 維持透析導入. その後, 当院倫理員会での審議を経て同じくエホバの証人である母をドナーとする生体腎移植の方針となった. 組織適合検査より血液型適合, DSA陰性であったことから右腸骨窩生体腎移植施行. ドナーに対しては後腹膜鏡下左腎摘を施行した.ドナーは術後4日目, レシピエントは術後10日で自宅退院となった. 術後4年が経過した現在も問題なく外来通院中である.【結語】エホバの証人に対する生体腎移植は無輸血で行うという観点からリスク高いものの, 組織適合性や患者の全身状態を考慮した上で施行可能であると考える.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 393_1-393_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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