ネパールのカトマンズ近郊におけるアッサムモンキーとアカゲザルの生息状況と群れの構成

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タイトル別名
  • Inhabitation status and group composition of Assamese and rhesus macaques in Kathmandu Valley, Nepal

抄録

<p>ネパールのカトマンズ近郊(北緯27.8度, 東経85.4度)にはアッサムモンキー(Macaca assamensis)とアカゲザル(M. mulatta)が生息している。2013年から 2017年にセンサスを行って,発見した群れの構成を記録した。アカゲザルは,カトマンズ周辺に広がる山地の森林のみならず,Swayambhunath寺院,Pashupatinath寺院,Balaju庭園内とそれらに隣接する森林,さらには耕作地や街中でも発見された。農作物や残飯を全く食べていないアカゲザルの群れは見つからなかった。オスグループ及びソリタリーのオスは,アカゲザルでは発見されたが,アッサムモンキーでは発見されなかった。Shivapuri Nagarjun国立公園内とその周辺地域では,アッサムモンキーの群れは11群,アカゲザルの群れは5群発見された。 群れを発見した場所の平均高度は,アッサムモンキーが1,546mでアカゲザルが1,507mだった。性年齢構成を確認できた複雄複雌群についてアッサムモンキーの6群とアカゲザルの5群を比較すると,群れの平均頭数は,アッサムモンキーが21.2頭でアカゲザルが29.6頭だった。成熟個体の性比(オトナオス÷ オトナメス×100)の平均は,完全な成熟個体のみではアッサムモンキーが69.5でアカゲザルが56.0,サブアダルトのオスを含むとアッサムモンキーが74.9でアカゲザルが69.2だった。群れの全頭数に対するオトナの割合の平均は,アッサムモンキーが53.8% でアカゲザルが42.6%だった。上記の数値はいずれも有意な差ではなかったが,アカゲザルと比べてアッサムモンキーは,小さな群れを形成し,オスがオスグループやソリタリーとして暮らさないために複雄複雌群内のオトナオスの割合が高く,成熟個体の割合が高く,高地に生息する傾向が伺えた。アッサムモンキーは攪乱された小さな二次林ではなく険しい地形の森林でゆっくり繁殖する可能性があり,それがこうした特徴と関係していたのかもしれない。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390570939491954688
  • NII論文ID
    130008091045
  • DOI
    10.14907/primate.37.0_38_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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