マウス精子形成期における減数分裂の移行・進行を制御するクロマチン動態
書誌事項
- タイトル別名
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- Dynamic changes of chromatin accessibility during meiosis in mouse spermatogenesis
抄録
<p>生殖細胞は,細胞分裂を繰り返して細胞数を増やすが,ある時期が来ると減数分裂を起こし,やがて精子もしくは卵に分化する。生殖細胞特有の現象である減数分裂は配偶子形成に不可欠なプロセスである。精子形成期において,生殖細胞が分化し減数分裂期へ移行する際には,数千もの遺伝子発現が変化する。この変化は生殖細胞特異的なエピゲノム変化及びクロマチン構造変化によってもたらされる。しかしこの変化がいつどのように形成されるのか,その分子機構は未解明である。本研究では,精子形成期において,減数分裂の移行と進行を制御するクロマチン動態の解明を目的とした。まずマウス精巣から酵素を用いて生殖細胞を単離したのち,セルソーターを用いて減数分裂移行期を含む4つの代表的な精子形成期の細胞を分取し,各時期の細胞に対してオープンクロマチン解析(ATAC-seq)を行った。その結果,減数分裂移行期には数万領域ものクロマチン開閉状態が段階的に変化することを明らかにした。クロマチン開閉状態が変化する領域を標的に転写因子の結合予測解析を実施したところ,減数分裂移行期の性染色体にヒストンメチルトランスフェラーゼPRDM9の結合モチーフが有意に検出された。またChIP-seq解析から,PRDM9の性染色体への結合が確認され,PRDM9結合領域周辺のH3K4およびK36がトリメチル化されていた。さらにそれらPRDM9結合領域では,SPO11によるDNA二本鎖切断(DSB)が生じ,周辺のクロマチンが広く弛緩していた。精子形成が正常に進行するには,減数分裂期に性染色体の凝集体であるXYボディを形成し,性染色体の転写と相同組み換えを抑制する必要がある。XYボディは減数分裂期にDNA損傷応答修復(DDR)因子が性染色体へ集積し形成される。本研究により,減数分裂移行期におけるPRDM9の性染色体への結合と,それに伴う広範囲のオープンクロマチン化及びSPO11によるDSBをきっかけに,性染色体周辺へDDR因子が集積され,XYボディを形成することが示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 114 (0), P-29-P-29, 2021
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390571172217660800
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- NII論文ID
- 130008103807
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可