ポビドンヨード子宮内投与後のウシ子宮内膜における遺伝子発現変化およびside population細胞の変遷

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  • Changes in proportion of side population cells and gene expression in bovine endometrium after intrauterine administration of povidone-iodine

抄録

<p>ポビドンヨードの子宮内投与は,殺菌作用の他に子宮内膜上皮の剥離・再生を誘導することが報告されており,畜産現場においてはウシの受胎性を回復させる目的でポビドンヨードの子宮内投与が行われている。我々はこれまでに,幹細胞・前駆細胞様の特徴を持つウシ子宮内膜side population(SP)細胞が分娩後の子宮内膜再生に寄与する可能性を報告している。本研究では,ポビドンヨード投与後の子宮内膜再生機序を明らかにすることを目的に,ポビドンヨードのウシ子宮内投与後の子宮内膜細胞における遺伝子発現変化および子宮内膜SP細胞の変遷を分娩後の子宮内膜再生過程と比較,検討した。正常な発情周期を示す黒毛和種牛(11頭)を用い,発情後7日目に50 mLの2%ポビドンヨード液を各子宮角に50 mLずつ投与した。投与日を0日とし,0(投与前),2,7,14日目に子宮内膜組織をバイオプシー鉗子にて採取した。また,分娩後の黒毛和種牛(6頭)から,分娩後10,30,50,100日目に子宮内膜組織をバイオプシー鉗子にて採取した。子宮内膜組織から細胞を単離し,Hoechst33342で染色後,フローサイトメトリー解析を行い,SP細胞の割合を算出した。ポビドンヨード投与前に0.332%だったSP細胞の割合は投与後7日目(0.778%)に増加し,その後14日目(0.334%)には減少した。一方,分娩後におけるSP細胞の割合は,分娩後10日目に最も低い割合となり,分娩後100日目まで徐々に増加していた。これらの結果から,ポビドンヨード投与後は分娩後とは異なるSP細胞の変遷を経ることが示された。また,マイクロアレイ解析により,経時的に発現が変動した遺伝子について比較したところ,ポピドンヨード投与後および分娩後に共通して変動する遺伝子は少ないことが明らかとなった。以上の結果から,ポビドンヨードを子宮内に投与した後の子宮内膜再生は,分娩後のものとは異なる機序である可能性が示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390571172217667712
  • NII論文ID
    130008103941
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-59
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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