胸膜炎症性筋線維芽細胞腫の1例

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  • A Case of Inflammatory Myofibroblastic Tumor of the Pleura

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抄録

<p>背景.炎症性筋線維芽細胞腫(inflammatory myofibroblastic tumor:IMT)はこれまで炎症の修復機転における反応性病変として扱われていたが,近年は局所浸潤や再発転移も来し得る悪性の性格をもつ腫瘍へと疾患概念が変遷している.稀な腫瘍で,胸膜原発例を経験したため報告する.症例.79歳,男性.石綿曝露歴あり.労作時呼吸困難を主訴に受診し,胸部CTで左胸水と胸膜の肥厚を指摘された.局所麻酔下胸腔鏡下生検を施行されたが,胸膜病変に悪性所見なく,良性石綿胸水と診断された.経過中に左胸水と胸膜肥厚の増悪があり,全身麻酔下に再生検し,IMTの診断を得た.切除不能かつALK陰性例で有効な治療手段がなく,術後約2カ月に永眠となった.結論.原因不明の胸水や胸膜病変の精査に局所麻酔下胸腔鏡下生検を施行する機会が増加しているが,IMTのように局所麻酔下生検での検体では診断が困難な腫瘍もあることを念頭に,可及的速やかな全身麻酔下生検や治療を兼ねた一期的な腫瘍切除の適応も検討しながら診療にあたる必要がある.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 43 (5), 515-519, 2021-09-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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