P-13-09 重症心身障害児(者)の皮膚損傷に対する物品の工夫

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抄録

目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は思いもよらない部位に皮膚損傷を起こし、治癒しても再発し、患者の協力が得られず、治療に難渋することが多い。この皮膚損傷は、重症児(者)に特徴的な同一部位への物理的刺激が増悪し、発生したと推測できる。今回、発生した3種類の皮膚損傷に対して、多職種が連携し、改善に取り組んだ。 方法 ① 「耳介部の皮膚損傷」2名に対して、枕に耳の形状の穴をあけ、辺縁に粘着フォームパットを装着した枕を作成し使用した。②「肘や膝の滑液包炎」2名に対して、ウレタンチップをカップ型にし、患部への負担が軽減する装具を作成し使用した。③「NPPVマスク装着中による皮膚損傷」3名に対して、個別のアタッチメントを作成し、ヘッドギアの長さや幅を調整し固定した。 結果 ①2名はともに発赤が消失し、潰瘍は治癒した。②2名とも炎症や腫脹が軽減し、滑液包炎が治癒した。③眉間に発赤がある2名と耳介部に潰瘍形成した1名ともに治癒し、安定した装着と呼吸管理が継続できた。 考察 ①枕の支持面積が広がり、効果的な体圧分散となった。また、空洞化により耳介部の折れ曲がり解消し、皮膚への刺激も軽減できた。そして安定した環境の提供が安楽となり、筋緊張減少にも繋がった。②カップ型装具の固定により効果的な除圧ができ、局所の安静が保て症状軽減に繋がった。③既存のマスクやヘッドギアは、重症児(者)にはサイズが適さず、タオルで隙間を埋めたりして対応していたため、皮膚損傷を発症した。このアタッチメントの使用により、マスク上部の締め付けにゆとりができ、ベルトのずれも無くなり、固定が安定した。また、ヘッドギアの長さと幅は適切なサイズのものを選択するか、調整することも必要であった。 まとめ 重症児(者)の日常生活から生じる物理的刺激に対して、個別性に応じた物品の工夫が有効であり、難治性の皮膚損傷が改善した。 申告すべきCOIはない。

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