生産技術システムの国際水平移転

書誌事項

タイトル別名
  • International horizontal transfer of production technology systems
  • 生産技術システムの国際水平移転 : 教えることの効果に関する事例研究
  • セイサン ギジュツ システム ノ コクサイ スイヘイ イテン : オシエル コト ノ コウカ ニ カンスル ジレイ ケンキュウ
  • Case studies on the effect that providing technological training have on engineers and operators
  • ─教えることの効果に関する事例研究─

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抄録

<p>本研究は、多国籍企業における生産技術システムの国際水平移転が、教える側の技術者と作業者に対してどのような効果をもつかを明らかにしようとするものである。本研究は生産技術システムを「多様な生産技術要素の組み合わせや総体を意味するシステム」と定義している。</p> <p>技術移転の先行研究によれば、生産技術システムの国際移転は、本国親工場が生産技術システムを海外子工場へ教える「垂直的順移転」が主流であった。しかし、近年では、海外子工場が生産技術システムを他国の海外子工場へ教える「国際水平移転」が見受けられるようになっている。</p> <p>本研究は、生産技術システムの特に国際水平移転において、教える側の技術者と作業者の人間的技能と概念的技能の開発に対して、技術指導が正の影響を与えるという2つの命題を開発した。すなわち、教える側の技術者と作業者の人間的技能の開発に対して、技術指導が正の影響を与えるという命題1と、教える側の技術者と作業者の概念的技能の開発に対して、技術指導が正の影響を与えるという命題2である。本研究はこれら2つの命題を日系多国籍製造企業2社の事例研究を通じて探索的に検証することにした。</p> <p>事例研究の結果、生産技術システムの国際水平移転(技術指導)は、教える側の技術者と作業者の人間的技能と概念的技能の開発に対して、ともに直接的に寄与することが判明した。同時に、特に概念的技能の開発に対しては、技術指導が生産技術システムの形式化という要因を媒介して間接的に寄与する可能性も明らかになった。したがって、命題1は支持されたものの、命題2は部分的に支持されることになった。</p> <p>以上の発見事実は、「誰」に知識を供給(教え)させて知識を組織的に創造させるか、「誰」に教えさせて育成するのか、さらには教える者と教材との間にどのような関係を作れば、教える者を効果的に育成できるのかという新しい理論的視角を提供する。</p> <p>しかし、これらの発見事実は、日系多国籍製造企業2社の探索的な事例研究に基づいた検証結果であり、その外部妥当性は必ずしも高くない。加えて、命題に影響を及ぼす他の重要な制御変数を見落としている可能性もある。したがって、今後は他の重要な制御変数も制御しつつ、本研究の命題を大規模な標本を使って定量的に再検証し、その外部妥当性を確認することにしたい。</p>

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