光合成色素の分析により植物の多様性と進化を考えさせる教材の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of the Teaching Material for Understanding of the Plant Diversity and Evolution by the Analysis of Photosynthetic Pigments
  • コウゴウセイ シキソ ノ ブンセキ ニ ヨリ ショクブツ ノ タヨウセイ ト シンカ オ カンガエサセル キョウザイ ノ カイハツ

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説明

<p>高等学校生物において,光合成色素に関する実験は,クロマトグラフィーを用いた緑葉の色素の分離のままで終わることが多かった.本研究では,カポック(種子植物),アナアオサ(緑藻),ワカメ(褐藻),スサビノリ(紅藻)の4種類を用い,光合成色素の分離と吸収スペクトルの観察を組み合わせることによって,植物の色素の多様性と藻類から陸上植物への進化の過程を考察させる教材の開発を試みた.</p><p>藻類は,事前に半日ほど暗黒下で乾燥したものを用いた.光合成色素の抽出は,試料を乾燥粉末シリカゲルと共に磨砕してから行った.脂溶性色素は用いたすべての種からジエチルエーテルを用いて行い,水溶性色素はスサビノリ(紅藻)から10%NaCl水溶液を用いて行った.脂溶性色素の分離はシリカゲル薄層プレート(アルミニウム製)を用いて,薄層クロマトグラフィー(TLC)によって行った.紅藻に含まれる水溶性色素には複数の成分が混在していると思われるが,これらの分離は行わなかった.これらの色素の吸収スペクトルの観察には,手製の簡易分光器を用いた.その際,吸収される波長域を観察しやすいように,対照層(ジエチルエーテル層,水層)と比較するなどの工夫をした.</p><p>上記の方法によって,高校生物の授業であれば支障がない程度の純度で色素(クロロフィルa,クロロフィルb,フコキサンチン,フィコビリンタンパク)の抽出液が得られること,簡易分光器 による吸収スペクトルの観察により各色素の特徴を識別することができた.この方法を授業へ導入することによって,植物における光合成色素の多様性に気付かせ,色素組成の変化と海藻から陸上種子植物への進化を関連付けて考察させることができると考える.</p>

収録刊行物

  • 生物教育

    生物教育 42 (2), 65-73, 2001

    一般社団法人 日本生物教育学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (27)*注記

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