O-9-03 普通小学校の歩ける・話せる医療的ケア児に訪問看護を提供した一例

  • 内山 眞理子
    浜松市発達医療総合福祉センター 友愛のさと診療所 看護師
  • 鈴木 明菜
    浜松市発達医療総合福祉センター 友愛のさと診療所 看護師
  • 山本 卓磨
    浜松市発達医療総合福祉センター 友愛のさと診療所 看護師
  • 遠藤 雄策
    浜松市発達医療総合福祉センター 友愛のさと診療所 医師

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説明

目的 今年度、市の教育委員会からの委託を受け、医療的ケアを必要とする小児(以下、医療的ケア児)の就学支援として、訪問看護の提供を開始した。その支援を振り返り、今後の課題について検討した。 対象者と方法 気管切開と呼吸器管理、吸引、胃瘻のある独歩と会話が可能な普通小学校に通学する8歳児とその母親。診療録を後方視的に検討した。 倫理的配慮 倫理委員会の承認(承認番号:平成30年度第9号)後、保護者の同意を得て実施。個人情報は特定されないよう十分配慮した。 結果 介入前は別室に待機している母を求めて、授業中でも離室することが多かった。介入当初、同様の行動を認めたが、看護師が毎日介入し母子分離が進んだことで、離室は介入開始時の平均4回から介入4か月後には0回に減少した。また介入することによって45分間の授業に集中できるようになった。ADLに関して、介入当初は紙おむつへの失禁が常態化していた。担任、養護教諭、保護者と話し合い、トイレの定時誘導から開始し、布オムツへ移行した結果、介入2か月後には排泄の自立を得た。この経験から学校と看護師との間で情報共有をすることを毎週行なうようにした。母親は教室に付き添う必要性がなくなり、自由になった時間をきょうだいの学校の調整や自身の進学のための勉強時間にあてることができていた。 考察 本症例では、訪問看護により母子分離が進んだことで、離席・離室に改善を認め、授業への取り組みが向上した。ADLの未自立や医療的ケアの実施のタイミングが、時に児の授業の継続を中断してしまう原因となるため、看護師は状況を正確にアセスメントし、解決のために学校職員や保護者と相談することが重要である。今後、医療的ケア児の就学支援の増加が予測されるため、介入方法の再検討や学校との連携強化、さらなる安全性への確保などが課題である。 申告すべきCOIはない。

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