細菌製剤給与による細菌叢と短鎖脂肪酸濃度の変動の関係について

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抄録

<p><tt>異常な腸内細菌叢の状態であるdysbiosisを正常化することを目的として、プロバイオティクスを含むペットフードやサプリメントが注目されている[1-2]。しかし、細菌製品がイヌの消化器に及ぼす影響についての報告は限られている。本研究の目的は、プロバイオティクスを給与することによって起こりうる糞便中の細菌叢とその代謝産物である短鎖脂肪酸 (SCFA)濃度の変動の関係を調査することである。健常犬にプロバイオティクスを給与し、糞便中の細菌数およびSCFA濃度の変動に対する関係性は単回帰分析を用いて解析を行った。 酢酸濃度の上昇に対する細菌の影響力は、</tt>Bacteroides<tt>属(係数推定値2.46、p<0.01)、</tt>Fusobacterium<tt>属(係数推定値2.28、p<0.01)そして</tt>C. coccoides <tt>group(係数推定値1.42、p<0.01) の順であることが明らかとなった。さらに、プロピオン酸濃度の上昇には、</tt>Bacteroides<tt>属(係数推定値0.97、p<0.01)と</tt>Fusobacterium<tt>属(係数推定値0.79、p<0.01)がその順に影響することも明らかとなった。これらのことから、特に</tt>Bacteroides<tt>属と</tt>Fusobacterium<tt>属の細菌数の増加により酢酸とプロピオン酸の濃度を上昇させることで、腸内の免疫機構の修復が期待できることが示唆された。今後さらなる研究によりdysbiosisの関与が疑われる消化管疾患に対す</tt><tt>る細菌製剤の使用基準の確立が期待できる。 </tt></p>

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