初診時 SDS スコアは禁煙達成成否の強い独立決定因子である

  • 和田 啓道
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 長谷川 浩二
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 寺嶋 幸子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 健診センター
  • 佐藤 哲子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 井上 美鈴
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 飯田 夕子
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 山陰 一
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 北岡 修二
    京都大学大学院医学研究科 人間環境科学専攻
  • 森本 達也
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 藤田 正俊
    奈良女子大学 保健管理センター
  • 島津 章
    (独)国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
  • 高橋 裕子
    奈良女子大学 保健管理センター

書誌事項

タイトル別名
  • Self-rating depression scale score is a strong independent predictor of smoking cessation outcomes

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抄録

背景:近年の喫煙率の傾向として、男性の喫煙率は低下しているのに比べ、20~30歳代の女性の喫煙者率は増加向にある。これまでの先行研究において、女性のニコチン依存は、喫煙本数を主体としたFagerstr?m Test for Nicotine Dependence(FTND)等で評価されており、ニコチン依存は低いとされてきた。一方2006年より健康保険適用の禁煙治療が制度化され、ニコチン依存症の診断にTobacco Dependence Screener(TDS)が使用されていることから、FTND、TDS、喫煙本数の少ない若年者向けに開発されたHooked on Nicotine Checklist(HONC)の一部を用いて20~30歳代の女性喫煙者のニコチン依存の現状を分析することと禁煙に対する意思との関連要因を検討することを目的とした調査を行った。<br> 方法:2007年7月から2008年4月の間に、国立病院機構京都医療センター禁煙外来を新規受診して同意した患者65例(連続症例)を対象にSDSテストを施行した。精神疾患の既往、精神科あるいは心療内科受診歴のある患者は除外した。SDSスコア39点以上47点以下を正常/神経症境界、48点以上を神経症/うつ病とした。<br> 結果:禁煙成功率は正常群 (n=29) 69%に対し、正常/神経症境界群 (n=17) 35% (P = 0.030)、神経症/うつ病群 (n=19) 21% (P = 0.002)と、うつ状態の程度に従い禁煙成功率は顕著に低下した。初診時の性別、年齢、喫煙開始年齢、喫煙年数、1日の喫煙本数、ブリンクマン指数(喫煙本数/日×年数)、ニコチン依存度の指標であるFTNDスコア及びTDSスコア、禁煙の自信度、SDSスコアを変数とした多重ロジスティック回帰分析の結果、12週後の禁煙成否を規定する唯一の独立因子がSDSスコアであった(P = 0.032, OR: 0.927, CI: 0.866-0.993)。<br> 結論:初診時のうつ状態は短期的禁煙成功率に深く関連し、SDSスコアは短期禁煙達成成否を規定する最も強力な因子であった。潜在的うつ状態の存在が禁煙の最大の妨げであることが明らかとなった。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.2 (04), 4-8, 2008

    日本禁煙科学会

被引用文献 (3)*注記

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