総動脈幹遺残ラット胎仔心臓血管断面の天然色図譜

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  • Natural Color Pictures of Cross-sections of Fetal Rat Heart with Trunks Arteriosus

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抄録

<p>総動脈幹遺残は心臓流出路の円錐から動脈幹の中隔形成不全に起因する先天性心疾患である.新生時期に重篤な心不全に陥る致死的な疾患であるため胎児エコー診断が重要である.染色体22q11.2欠失症候群の31%に総動脈幹遺残を合併し,妊娠ラットへのbis-diamine投与により胎仔に染色体22q11.2欠失症候群に酷似した先天性疾患を生じる.本稿ではbis-diamineによりラットに生じた総動脈幹遺残の胎生期心臓血管断面像を検討した.妊娠9日目と10日目にbis-diamineを投与し,満期21日目に全身急速凍結法を用いて胎仔を固定した.ミクロトームで薄切した胸部横断面を実体顕微鏡下に連続写真で記録した.観察した胎仔の90%に心疾患があり.17%に総動脈幹遺残が認められた.代表的な4例の総動脈幹遺残胸部横断面の図譜を詳細に検討したところ,心室中隔欠損や右室流出路と主肺動脈の欠損,弁異形成や逸脱,4弁性などの総動脈幹弁の形態異常,さらに総動脈幹から起始する主肺動脈または左右肺動脈が確認された.その他右側総動脈幹弓や右鎖骨下動脈起始異常による大血管とその分枝の走行以上も明確に描出された.Bis-diamine投与による総動脈幹遺残モデルラットの図譜は,人の総動脈幹遺残に対する胎児エコー診断の一助となる可能性がある.</p>

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