福島原発事故が被災看護師の仕事と家庭に与えた影響に関する質的研究

  • 米本 倉基
    藤田保健衛生大学医療科学部医療経営情報学科
  • 真野 俊樹
    多摩大学医療・介護ソリューション研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Impact on work and family among the nurse that was affected by the Fukushima nuclear accident
  • フクシマ ゲンパツ ジコ ガ ヒサイ カンゴシ ノ シゴト ト カテイ ニ アタエタ エイキョウ ニ カンスル シツテキ ケンキュウ

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抄録

<p> 本研究は、2011年に発生した東日本大震災の福島第一原子力発電所事故によって緊急避難を余儀なくされた看護師が仕事と家庭において受けた影響を、震災直後とその後2年間の心理的過程を分析し、明らかにする。</p><p> 調査は、原発事故後に閉院状態となった病院の看護師7名を対象として、2012年9月に半構造的面接を実施し、得られたテキスト・データを修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ(M-GTA)で質的分析を行った。その結果、震災直後の仕事と家庭に関しては、「看護職へのワーク・コミットメント」、「組織の中の人間関係」、「管理職としての行動」、「心理的報酬」、「仕事と家庭の葛藤」、「被ばく経験」の6単位のカテゴリーと計20件の下位概念が生成された。また、震災発生後から2年間の仕事と家庭の変化として、「PTSD状態」、「復元されない生活環境」の2単位のカテゴリーと計8件の下位概念が生成された。このことから、ワーク・コミットメントによるグループ・ダイナミックス、仕事か家庭かで役割葛藤を強いられる状況下でのワーク・ライフ・バランス、生活環境の激変による強いストレスに伴うメンタル・ヘルスへの影響が、調査対象の看護師たちに認められた。</p>

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