O15-2 腱板断裂性変形性肩関節症に対してリバース型人工肩関節置換術を施行した1 例
抄録
<p>【はじめに】リバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)は従来まで治療が困難であった症例に対する治療効果が期待されている.腱板断裂性変形性肩関節症に対してRSA を施行された一症例の術後理学療法を経験したので報告する.</p><p>【倫理的配慮】症例提示に関して対象者本人からの同意を得た.匿名性への配慮を行った.</p><p>【症例報告】74 歳女性.右利き.1 年以上前から両肩関節痛を認め,疼痛の増悪を繰り返していた.今回,右肩関節の夜間痛と洗体時に反対側の腋窩へ手を伸ばすときに肩前方痛を訴えており,当院にてRSA を施行となった.手術進入はdelto-pectral approach 法で行い,術後4 週間はウルトラスリングにて固定した.手術翌日より肩関節の他動・自動介助運動と肩甲胸郭関節運動を開始し,術後4 週より肩関節の自動運動を開始した.術後1 か月で退院し,外来で理学療法を継続してきた.術前/術後3 か月/術後半年における自動運動での可動域は屈曲100°/140° /150°,外転80°/110°/125°,1st 外旋0°/10°/15°,結帯動作は殿部以下/殿部/L5 となり,洗体動作も疼痛なく可能な状態となった.合併症は認めなかった.また,術前/術後半年における患者立脚肩関節評価法Shoulder36 は疼痛3.5/4,可動域3.4/4,筋力3.3/4,健康感3.2/4,日常生活機能3.3/4 となり,各スコアに改善が認められた.</p><p>【考察】RSA は回転中心を内下方へ引き下げ三角筋のレバーアームを伸ばし,その張力で上肢を挙上させる特徴を有している.そのため,ステムの構造上,三角筋の起始部と停止部を引き離すため,三角筋が過緊張位となりやすい傾向にある.本症例は術後早期より適切なポジショニングやリラクセーションにより三角筋の過緊張の緩和を行い,筋性の疼痛が生じなかったことが安全で可及的な肩関節機能の改善に繋がったと考えられる.しかし,まだ症例数が少ないため,今後の調査が必要である.</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 40 (0), 82-, 2021
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390571704642902400
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- NII論文ID
- 130008121421
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可