SPP-3 姿勢異常を伴うパーキンソン病に対する視床下核刺激療法術後の短期理学療法効果―症例報 告―
抄録
<p>【目的】視床下核刺激療法(以下STN-DBS)はパーキンソン病(以下PD)の運動合併症を軽減するための外科的治療法であり、姿勢異常への効果を示した研究は少ない。また、PD が呈する姿勢異常に対するSTN-DBS 術後理学療法の効果は未だ不明確である。</p><p>【症例紹介】10 年前にPD と診断された61 歳の女性を対象とした。今回STN-DBS は腰曲がり症状の改善を目的とはしておらず、ドパミンアゴニストの減薬とジスキネジアなど運動合併症の改善を目的に行われた。入院時ADL は自立しており、Hoehn and Yahr 重症度分類3 であった。立位姿勢で体幹左側屈20°のピサ徴候と前屈20°の軽度腰曲がりを認めた。</p><p>【説明と同意】本報告の趣旨をヘルシンキ宣言に基づき患者に説明し同意を得た。</p><p>【経過・結果】STN-DBS 術後に60 分間の理学療法を週5 回実施した。理学療法内容はストレッチ、体幹筋力強化練習、バランス練習、姿勢矯正練習を行った。STN-DBS 術前日と術後18 日目の退院時に身体機能評価を実施し、立位姿勢は体幹左側屈20°から左側屈5°、体幹前屈20°から0°に改善した。Trunk Impairment Scale は5点増加し、体幹正中覚は左側屈40°から0°に改善し、Mini-Balance Evaluation Systems Test は5 点増加した。下肢筋力は不変であった。</p><p>【考察】STN-DBS は運動合併症の改善と減薬に効果的であるが、体軸症状や姿勢反射障害への効果は不明確とされている。本症例の姿勢異常は、PD 自体の進行に伴うものや、ドパミンアゴニストの副作用により生じた可能性が考えられたが、STN-DBS を行うまでは薬剤調整単体での改善を行うことが困難であった。そのため、本症例における姿勢異常の改善にはSTN-DBS 自体の効果やドパミンアゴニストの減薬が与える影響はもっとも大きいと考えられた。</p><p>しかし、術後に理学療法を併用することで、二次的に生じてしまった可動性低下や筋力低下、体幹正中軸の偏位に対して、短期間での改善が望める可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 40 (0), 8-, 2021
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390571704643252992
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- NII論文ID
- 130008121431
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可