序文

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  • 古家 琢也
    岐阜大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野

抄録

<p> 2012年にロボット支援前立腺全摘除術が保険収載となって以降, 多くの泌尿器科医がロボット手術に携わってきたと思われる. そのため, 我々泌尿器科医は, ロボットの操作に精通しているものと考えられてきた. 2018年以降, 様々な泌尿器科疾患に対しロボット手術が行えるようになったことから, これまで以上にロボット手術を行う機会が明らかに増加し, また若い先生方が執刀する症例もますます増えているものと思われる. しかしロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) に関しては, これまでの我々の考えを見直さざるを得ないことが明らかとなってきたように思う.</p><p> RARC時の膀胱の取り扱い方はもちろんのこと, それに続いて行う必要のある尿路変向術に関しても, ロボットで行うことに対する是非が, 未だに問われていると実感している. 海外の報告では, 多くの施設がロボットを使って体腔内で尿路変向を行う, いわゆるICUDが主流となっているが1), 本邦では一施設で行う症例数が限られていることから (症例数の多い施設でも年間30例程度であるため), 海外のhigh-volume hospitalを模倣しようとしても, 困難であることは明らかである. また, 尿路変向に用いる腸管は, ロボットで扱うにはかなり脆弱な臓器であるため, 腸管損傷はもとより, ともすれば予期せぬ合併症に遭遇する危険性をはらんでいる2). そのため, 使用する鉗子や術野の展開, 腸管のダメージを如何に最小限にするにはどのような工夫が必要なのかなど, ICUDを本邦で普及させるためには多くの課題が山積している.</p><p> 本稿では4名のエキスパートに, ICUDを導入する際のpit fallに関して述べていただいた. 症例数の少ない施設においても, どうすればスムースにICUDを導入出来得るのか, 自験例を紹介いただきながら, 術式毎に詳細に解説いただいた. これから導入を考えている施設はもとより, 現在行っている先生方にとっても, 明日からの診療の一助となれば幸いである.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390571713980383232
  • NII論文ID
    130008123915
  • DOI
    10.11302/jsejje.34.177
  • ISSN
    21874700
    21861889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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