腎生検で診断しステロイド療法を行った高齢Tubulointerstitial nephritis with IgM-positive plasma cells(IgMPC-TIN)の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Tubulointerstitial nephritis with IgM-positive plasma cells in an elderly woman diagnosed by a renal biopsy and treated with corticosteroid therapy
  • ジンセイケン デ シンダン シ ステロイド リョウホウ オ オコナッタ コウレイ Tubulointerstitial nephritis with IgM-positive plasma cells (IgMPC-TIN)ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

<p>症例は81歳女性.X-1年7月に近医で慢性腎臓病(CKD)を指摘され,当科に紹介された.シェーグレン症候群の診断基準を満たし,CKDの原因としてシェーグレン症候群による尿細管間質性腎炎(TIN)を考えたが,患者本人の希望により腎生検やステロイド療法などの精査加療は行わず経過観察していた.X年7月に腎機能が再増悪し,超音波ガイド下経皮的腎生検を行った.腎病理所見では,IgM/CD138二重染色でIgM陽性形質細胞が腎間質に多数浸潤していたことから,Tubulointerstitial nephritis with IgM-positive plasma cells(IgMPC-TIN)と診断した.</p><p>IgMPC-TINは2017年にTakahashiらにより提唱された,病理学的にIgM陽性形質細胞が腎間質に多く浸潤していることを特徴とするTINであり,治療としてはステロイド療法が有効とされている1).本症例は高齢であったがステロイド療法を施行したところ,腎障害は残存したものの,腎機能をはじめとした血液検査および尿検査所見の改善が得られた.また,間質性肺炎も若干の改善がみられた.ステロイド投与量を漸減している現在も再燃なく経過している.</p><p>高齢者は複数の基礎疾患を有し,多数の薬剤を内服していることが多く,TINを始めとした腎障害の原因特定に苦慮することがあるが,高齢者においても腎生検は腎障害の原因特定と腎予後の推定に有用である.IgMPC-TINは治療により腎機能の改善が期待できることから見逃してはならない病態と考えられ,腎生検で適切に診断したうえで治療を検討することが重要である.</p>

収録刊行物

参考文献 (8)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ