リッカート尺度項目の抽象度が回答に及ぼす影響―「影響力認知尺度」を用いた場合―

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タイトル別名
  • Effects of level of abstraction of Likert-type scale items on respondents’ answer: In the case of Perceived Social Power Scale

説明

<p>本研究の目的は,リッカート尺度項目の抽象度が回答に及ぼす影響を明らかにすることであり,影響力(社会的勢力)認知尺度(Imai, 1993)を対象にデータを収集した。この尺度は,日常,最も影響を与えていると認知している人物を回答者に思い浮かべさせ,報酬,強制(罰),正当,専門,参照,魅力の6影響力(各4項目)について評定させるものである。原型版を抽象条件とし,より具体性の高い表現を用いた具体条件も設定した。</p><p>ネット調査で1,182人(男性601人,女性581人,平均39.41歳(SD=11.82))の回答を得た。条件ごとの6影響力のα係数は比較的高く(min=.697),各合計を分析に用いた。影響力のある人物として父親,母親,配偶者を挙げた回答者のデータ(n=604)を用いて,抽象度×対象人物×影響力要因の繰り返しのある分散分析を行った。その結果,抽象度×対象人物要因の交互作用(F(2, 598)=3.631,p=.027,η2=.012)が認められ,父親(特に参照影響力)の場合に抽象>具体という有意差が認められた。全体的には質問項目の抽象度による回答の差は認められなかったが,具体的な事例を想起しにくい場合は,抽象的な表現の方が評定値の高くなる傾向が示唆された。</p>

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