社会経済的地位と抑うつの関連に対する金融リテラシーの調整効果

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  • Moderating effects of financial literacy on the relationships between socio-economic status and depression.

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抄録

<p>社会経済的な格差が拡大する中,そうしたSESは抑うつと関連することが多く示されている。労働者の抑うつは,会社組織の健康関連コストの多くを占めるプレゼンティズムやアブセンティズムとも関わる重要な課題とされる。抑うつは,頻回な無力感の予期と関連するため,経済的な効力感をもたらす金融リテラシーを持つことで,SESと関連する抑うつは低くなると考えられる。そこで本研究では,SESと抑うつの関連を,金融リテラシーが調整するか検討する。正規雇用と非正規雇用の両方を含む会社員2173名を対象に,ウェブ調査を行った。抑うつを従属変数,SESと金融リテラシーおよびそれらの交互作用項と統制変数を独立変数とした重回帰分析を行った結果,SESと金融リテラシーの交互作用が有意であった。単純傾斜分析を行った結果,SES低群においてのみ,金融リテラシーと抑うつとの間に有意な負の関連がみられた。先行研究では,経済的な緊張と心理的苦痛の関連が統制感によって調整されることが示されているが,本研究の知見は,この統制感をもたらす1つに金融リテラシーがあることを示唆しており,金融リテラシーへの介入によって,抑うつの改善の可能性が期待できる。</p>

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