「声かけ」が万引き行動のしにくさに及ぼす影響―模擬万引き課題を用いて―

書誌事項

タイトル別名
  • The Effect of Preventive Greetings “Koekake” on Mock Shoplifting Behavior

抄録

<p>「声かけ(いらっしゃいませ)」が万引き防止に及ぼす効果を調べるため,倫理審査を経て承諾を得た参加者に模擬万引き課題に参加してもらった。条件は,事物をとる際,音声が呈示される実験条件(18名)と,呈示がない統制条件(18名)であった。課題前に行動基準尺度(永房他,2012),POMS2日本版成人用短縮版,特性罪悪感尺度(大西,2008),課題後にPOMS2,特性罪悪感尺度,模擬万引き課題経験尺度(模擬万引き行動を行う際に感じると想定される感覚の形容詞(例:抵抗感,おもしろさ)25項目から成る)への回答を求めた。</p><p>その結果,模擬万引き課題経験尺度における「(万引き行動の)難しさ」が,声かけ群で高く(p<.05),声かけにより万引き行動のしにくさが増すことが示された。また,POMS2の各因子得点につき,実験条件×課題前後の2要因分散分析を行ったところ,「混乱―当惑」,「抑うつ―落ち込み」,「疲労―無気力」,「緊張―不安」は課題後に高く,「活気―活力」,「友好」は課題後に低かった(p<.01~p<.05)。交互作用はみられなかった。模擬万引き行動は全般的にネガティブな気分を引き起こすが,声かけがそれを助長させることはないと推察される。</p>

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