浄水場生物膜処理槽内バイオフィルムによるアンモニア除去性能の季節変化

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  • Seasonal Ammonia Removal Performance by Biofilm in a Water Treatment Plant

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抄録

<p> アンモニアに代表される窒素化合物は、水圏の富栄養化などの問題を引き起こしている。近年、生物膜などを用いる生物処理法によるアンモニア除去技術が急速に進展し、多くの水処理施設に導入されている。ここで、生物処理法によるアンモニア除去に関する研究は大部分が下水など高濃度アンモニア(通常数百から数千mg N/L)の処理に関するもので、上水などの低アンモニア(通常2.0 mg N/L未満)負荷でのアンモニア除去能に関する知見は極めて不足している。本研究は、生物処理法を行っている上水処理施設から採取した成熟した生物膜を用い、低濃度アンモニア(1.0 mg/L)を供与した条件での生物膜のアンモニア除去能力の季節変化を評価した。2015年5月から2016年1月まで、各月の現場水温下で回分培養によるアンモニア分解実験を行った結果、水温が11℃に低下するまでは培養2日以内に効果的な除去が認められた。一方、水温が7℃に低下した1月では有意なアンモニア除去は認められなかった。各月の生物膜についてDNAを抽出後、分子生物学解析を行った結果、AOA(アンモニア酸化古細菌)はすべての試料で検出されず、AOB(アンモニア酸化細菌)は低いコピー数の範囲で変動していたことから、本報のアンモニア除去は一般的なアンモニア酸化微生物によるものではなかったことが示唆された。代わりに、従属栄養微生物によるアンモニア同化やcomammox過程が、低濃度アンモニア環境下でのアンモニア除去に寄与している可能性が示された。</p>

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