新型コロナウイルス感染症に関する治療薬開発の現状と課題

DOI
  • 忽那 賢志
    大阪大学大学院 医学系研究科 感染制御学

抄録

<p>新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は新興感染症であり、全く治療法のない状況でパンデミックとなった。当初、COVID-19の治療薬は、Repositioning(Repurposing)としてレムデシビル、イベルメクチン、ファビピラビル、ヒドロキシクロロキン、など様々な薬剤が検証されたが、2021年10月時点で臨床的な有効性が示されたのはレムデシビルのみである。回復者血漿療法は、特定の感染症に罹患した人の血漿を採取し、新たに感染した患者に投与する治療法である。これまでに、エボラ出血熱やSARSなどで試みられてきたが、有効性については示されていなかった。COVID-19においては、アルゼンチンで行われたランダム化比較試験で発症3日以内に高力価の血漿を投与した場合に重症化予防効果が示されている。この回復者血漿などの抗体治療の上位互換となるのがモノクローナル抗体であり、中和活性の強い特定の抗体を大量に精製するものである。カシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブなどのモノクローナル抗体は発症早期に投与することで重症化を防げることが分かっており、日本国内でも承認されている。また、経口抗ウイルス薬であるモルヌピラビルは第3相試験で入院または死亡を約50%減少させたと発表されており、早期承認が期待されている。このCOVID-19の治療薬の研究、承認の過程は今後、COVID-19以外の感染症や今後現れる新興感染症にも適用できる枠組みとして活用すべきものである。</p>

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  • CRID
    1390571890613070464
  • NII論文ID
    130008130761
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.42.0_1-s07-1
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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