Training Logの必要性における治験依頼者と治験薬管理担当薬剤師の見解の相違

DOI
  • 山中 陽平
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構
  • 高嶋 泰之
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構
  • 堀内 学
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構
  • 鶴嶋 英夫
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 筑波大学医学医療系
  • 荒川 義弘
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 筑波大学医学医療系
  • 本間 真人
    筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 筑波大学医学医療系

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抄録

<p>【目的】GCPガイダンスに基づいて、治験薬を適切に管理するためのTrainingが各試験で実施されている。実施医療機関ではTrainingを実施した証明としてTraining Log(TL)の作成・保管が求められる。TLの必要性は、治験依頼者のSOPや試験内容により異なっているが、資料改訂に関わる軽微な内容(名称変更、誤記修正等)でも求められることもあり、QMSの観点からはTLの形骸化が懸念される。今回、治験薬管理担当薬剤師の参加が求められた資料改訂に関わるTrainingとTLの作成状況の実態を調査した。</p><p>【方法】筑波大学附属病院において2017年9月~2021年2月に、薬剤師の参加が求められたTrainingの148件うち資料改訂に関わる113件について、TLの要否を調査した。またTrainingを求められた資料の種類や項目により、TLの必要性に違いがあるか否かを調べた。</p><p>【結果・考察】対象とした113件のTrainingの内訳は治験薬管理手順書の改訂(41件)、概要書の改訂(33件)、実施計画書の変更(29件)、その他(10件)であった。TLを求められたのは54件(手順書/概要書/実施計画書/その他:18/15/18/3)であり、他の59件(手順書/概要書/実施計画書/その他:23/18/11/7)は不要であった。TLが求められる割合は実施計画書の変更が62.1%と高く、治験実施に影響が大きい内容であった。一方、概要書と手順書の改訂は、TLを求められる割合は低いものの(それぞれ45.5%と43.9%)、治験実施に影響が少ない軽微な内容(定期改訂や記載変更等)でもTLを求められる場合があった。TLを求められた54件のうち、その必要性を依頼者に再確認したところ、5件(9.3%)(安全性・副作用情報の更新、検査項目改訂等)は不要に変更された。逆に、依頼者がTL不要としたが、薬剤師が必要と判断したTraining(治験薬規格等の変更)もあり、依頼者と薬剤師の間で見解の相違がみられた。</p><p>【結論】治験の適切な遂行のために資料改訂の内容を把握し理解することは重要であるが、治験実施に影響しない軽微な内容(TL不要)のTrainingが治験の質の担保に役立っている可能性は低い。今後、QMSの観点から関連団体や規制側の見解も踏まえた、Trainingの標準化について検討することが望ましいと考える。</p>

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