嗅覚同定能検査と認知機能との詳細な検討~岩木健康増進プロジェクトの結果より~

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タイトル別名
  • Relationship between Olfactory Identification Test and Cognitive Function in a Community-dwelling Population in Japan

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説明

<p>認知症や神経変性疾患の患者では嗅覚障害を比較的早期から発症することが知られている。我々は認知機能低下のスクリーニングとして嗅覚同定能検査の有用性を検討する目的で,一般地域住民を対象とした岩木健康増進プロジェクト健診で認知機能検査(MMSE)および嗅覚同定能検査を実施し,それらの関連性を検討した。また高齢者では必ずしも嗅覚低下を自覚しているとは限らないため,嗅覚低下の自覚症状と嗅覚検査結果との乖離が認知機能と関連するかどうかについても併せて検討を行った。</p><p>プロジェクト健診参加者の844人(男性324人,女性520人)に対して,においの自覚症状についての問診と,スティック型嗅覚検査法(OSIT-J)のうち3嗅素を用いた嗅覚検査を行い,併せて行われたMMSEとの関連について解析を行った。</p><p>男女ともに総MMSEスコアはOSIT-Jの結果と有意に相関しており,特に時間・場所の見当識+言葉の遅延再生と有意な関連が認められた。また,総MMSEスコアが低い群では,嗅覚低下の自覚とOSIT-Jの結果が有意に乖離することが認められた。</p><p>軽度認知障害(MCI)はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆期にあたり,ADへの年間移行率は約1割と言われているが,MCIの段階で早期に治療介入することによって認知症発症の予防効果が期待できる。嗅素数を少なくした嗅覚同定能検査で嗅覚が低下していること,かつそれを自覚していないことが,MCI早期発見のスクリーニング検査の一つとして活用できる可能性が示唆された。</p>

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