運転姿勢変化が自動車急制動時の反応時間と下肢筋活動に与える影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • 単関節筋と二関節筋に着目して

抄録

<p>近年、交通事故抑止に向けて運転者に着目した研究が注目されている。警察庁交通事故統計によると、運転操作不適による交通死亡事故件数は若年層と高齢層で多いことが明らかとなっている。交通事故の原因は人的要因、環境要因、車両要因など様々な要因が関係して発生すると言われ、我々は人的要因の交通事故抑止に向けて研究を行っている。</p><p>運転者を若年層と高齢層に分類してそれぞれの特徴を整理すると、運転に自信がある若年層の一部にはハンドルと頭部が離れた運転姿勢、身体機能が低下した高齢層の一部にはハンドルと頭部が近い運転姿勢が観察された。これらの運転姿勢は一般的に推奨されている運転姿勢から逸脱していると考えられる。トレーニング分野の研究において姿勢の違いが筋活動を変化させることが明らかとなっており、運転姿勢に置き換えた場合、同じ運転操作においてもこれらの姿勢の違いによる逸脱が筋活動を変化させ、運転操作性の低下やパフォーマンスの低下に繋がるのではないかと考えている。</p><p>そこで、本研究は運転姿勢の違いが筋活動や運転操作性に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。</p><p>実験方法は、運転習慣の有る健常な男子学生9名を対象として実験車両を用いて光刺激に対する反応時間と下肢筋活動を測定した。下肢筋活動測定にはNORAXON社製ウルティウムEMGの表面筋電計を用い、反応時間は実験車両から得られる光刺激時間に対するブレーキ作動時間と定義した。電極貼付位置はペダル操作に必要な下肢の単関節筋(内側広筋、外側広筋、前脛骨筋、ヒラメ筋)と二関節筋(大腿直筋、大腿二頭筋、腓腹筋)の合計7箇所に貼付した。</p><p>運転姿勢の違いに伴って得られる単関節筋と二関節筋の筋活動様式の特徴が運転操作性に影響し、若年運転者や高齢運転者の一部に観察される逸脱した姿勢を改善させることによって運転操作性を高める可能性が期待される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572012408922496
  • NII論文ID
    130008137250
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.71.0_354
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ