日中英語検定教科書における練習活動の分析研究

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  • Analysis of Practice Activities in Japanese and Chinese EFL Textbooks

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抄録

本論文は、練習活動に焦点をあて、日本と中国の中学校英語検定教科書の比較分析を行った。言語学習を目的とした「練習活動」を、Littlejohn(1992,2012)の枠組みを内容分析の参考にし、学習者に求めている力を明らかにした。五つの視点、1) 学習者の主体性、2) 言語的要素、3) 知的操作、4) 学習者同士の相互作用、5)インプット・アウトプットの内容・形式に基づき、分析を行った。その結果、1) 学習者の主体性においては、両国ともに学習者が自ら発することばではなく、指定された文型で回答を求める傾向が見られた。特に日本は、「聴く」「見る」のように回答を求めない受動的練習問題が4割を占めた。2) 言語的要素に関しては、両国ともに「意味」と「言語システムと意味の関連性」に焦点を当てる活動が中心であった。中国は、言語システムに焦点を当てた活動が日本より多いことが明確になった。3) 練習活動を行う際に伴う知的操作のうちで、「意味解読」、「情報選択」が両国において高い割合を占めた。出版社によって、知的操作の多様性と頻度のばらつきが見られた。4) 学習者同士の相互作用に関しては、聴解や読解のような個人作業が圧倒的に多いのに対して、対話練習のようなペアやグループによってコミュニケーショを行う活動が少ないことが示された。5) インプット・アウトプットの内容と形式については、両国ともに視覚情報、書き言葉と話し言葉、架空情景の使用といった共通点が多いものの、言語項目、言語表現の長さ、到達レベルに異なる特徴が明らかとなった。両国の比較を通して外国語の教材開発への示唆を提示する。

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