危機的出血時のクリオ/フィブリノゲン製剤による止血療法

  • 山本 晃士
    埼玉医科大学総合医療センター輸血細胞医療部

書誌事項

タイトル別名
  • HEMOSTATIC TREATMENT USING CRYOPRECIPITATE OR FIBRINOGEN CONCENTRATE FOR CRITICAL MASSIVE BLEEDING

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抄録

<p>危機的大量出血時には希釈性凝固障害が進行するが,その本態は「高度な低フィブリノゲン血症」であることがわかってきた.特に産科出血や外傷性出血では,早期から発症する100~150mg/dl未満の低フィブリノゲン血症が患者の予後を左右する要因となっている.これらの患者では大量出血によりフィブリノゲンの喪失が進むだけでなく,著明な線溶亢進によってフィブリン/フィブリノゲンの分解が起こっている.高度な低フィブリノゲン血症は血小板凝集も低下させるため,大量出血患者の止血能を改善させる治療のターゲットは「低フィブリノゲン血症」であると言える.</p><p>高度な低フィブリノゲン血症に陥って止血困難なウージングが遷延している状況では,集中的な濃縮フィブリノゲンの迅速補充がもっとも重要な止血治療となる.クリオもしくはフィブリノゲン製剤の使用で3gほどの濃縮フィブリノゲンを投与することにより,フィブリノゲン値を200~250mg/dl以上まで上げれば止血が可能になると期待される.新鮮凍結血漿の大量投与では高度な低フィブリノゲン血症からの脱却は不可能であり,出血が遷延するばかりか重篤な肺水腫を招くことになる.</p>

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参考文献 (36)*注記

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