中世最寒冷期の北日本14C年代偏差の解明

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  • Explication of 14C age offsets at medieval cold period in tree ring from the northern Japan

抄録

日本の14C年代暦年較正の高精度化に向け,北日本樹木の中世最寒冷期(15世紀後半)の年輪14C年代を測定した.その結果,IntCalより平均15年若い14C年代値が得られた.この結果は,その直前の時代にあたる14-15世紀前半が平均31年古くなることと逆の傾向であった.この原因の一つには,15世紀後半がシュペーラ一極小期前半にあたり,汎地球的に大気14C濃度が上昇したことが挙げられる.しかし,寒冷期中の一時的な温暖期に,試料の14C年代がさらに若くなる傾向も認められたため,太陽活動のみに制御された蓋然性は低く,気候変動も日本周辺大気の14C濃度変動に影響した可能性がある. IntCal13を使用してウィグルマッチングを行った結果,最外年輪試料の真の暦年代(AD1500)を含む較正暦年代(1493-1503 calAD(2σ))が算出された.しかしウィグルの形伏がIntCal13と異なるため,一部の試料の年代値は当てはまりが悪く,仮に単独試料であった場合,正確に暦年較正できないことも示された.今後は,もう一つの中世寒冷期にあたる13・14世紀における北日本の大気14Cオフセットを年代既知年輪試料の測定によって検討していく必要がある.

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