書誌事項
- タイトル別名
-
- Accurate age estimation using 14C in human teeth
抄録
法医学上,重要な目的の一つには,身元不明遺体の個人特定が挙げられる近年,核実験由来14Cを利用することでヒトの年齢推定を行う研究が北欧・北米で多く行われつつある.中でもヒト歯牙エナメル質中14Cを用いた誕生年推定は,±3年以内とかなりの高精度を誇る.しかしながら,日本においては,大気中14C濃度と日本人歯牙中14C濃度の間の差が明らかにされていないこと,人種による形成年齢の違いが存在することなどが原因で,このような研究は進展していない.本研究では,日本人歯牙を利用した誕生年推定法の確立を目指した.エナメル質に限らず,歯根中有機・無機成分の測定を行うことで,複数与えられるエナメル質形成年を1 つに絞り込む方法を提示した.エナメル質について,日本人の形成年齢を用い,実際の誕生年と推定誕生年の差を算出したところ,核実験期以降において,1.7±1.4年であった.これは,先行研究でのスウェーデン人,アメリカ人における値とほぼ同精度を示す値である.日本人歯牙中14Cを用いた人体年齢の精密推定は,高い精度で行えることが明らかになった.本研究の成果を利用することで日本における身元不明遺体の個人特定を目的とした科学捜査の際に,誕生年という非常に有用な情報が提供できる.
収録刊行物
-
- 名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
-
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書 26 90-95, 2015-03
名古屋大学年代測定資料研究センター
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390572174358151168
-
- NII論文ID
- 120005605944
-
- HANDLE
- 2237/21940
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可