斜長石から生成したギブサイトの走査電顕観察―大山および三瓶山降下地積物中の粘土鉱物,その8―

書誌事項

タイトル別名
  • Scanning Electron Microscopic Study of Formation of Gibbsite From Plagioclase -The clay minerals in the Daisen loam and the Sambesan locm, Part 8-
  • シャチョウセキ カラ セイセイシタ ギブサイト ノ ソウサ デンケン カンサツ

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説明

大山降下堆積物中の斜長石のギブサイト化過程を,偏光顕微鏡,X線,示差熱分析,走査型電顕,EPMAを用いて調べた. 斜長石は風化によって,カオリナイト,イライト,ハロイサイト,ギブサイト等を生成することが知られているが,今回,ギブサイト化した斜長石についてのみ検討をおこなった. EPMA分析によれば,一個の斜長石の表面に,Al, Si, Na, Caの多く存在する新鮮な斜長石の部分と,Na, Caをほとんど含まず,多量のAlと,ごく少量のSiを含んでいるギブサイトの部分とが分布し,その境界は, 明瞭であることがわかった(図版2).それぞれの部分の分析値は第1表のとおりである. 走査型電顕による斜長石の微細形態観察から,下記のことが明らかになった. ①新鮮な斜長石の表面は,平滑かまたは離溶ラメラがみとめられる(図版3-1). ②風化過程の初期に,水を合んだ非晶質の薄層が,斜長石の表層に生成する.この非晶質薄層の生成にさき立って,斜長石の表面の一部に, ロート状のくぼみが形成される場合がある(図版3-2,3). ③この非晶質薄層に亀裂が生じる(図版4).一方, ロート状のくぼみの上にも非晶質の薄層ができ,亀裂が生じる(図版8-1,2). ④さらに風化が進むと,ラメラ, 亀裂およびロート状のくぼみを部分的に残しながら,-・部には,ギブサイトの結晶が生成する(図版5). ⑤ギブサイトの結晶は,横1~3μm, 縦2~15μm, 厚さ0.5μm前後の平板状の形態,または,直径15-25μm,厚さ0.5~1μm の円盤上の形態をもつ(図版6). ⑥ギブサイトの結晶は,平板状のものが数段重なり,集合体をなす場合もあり(図版7-1),これは,ブラジルのミナス鉱山産のギブサイトの集合状態(図版7-2)とよく似ている. すなわち,斜長石の表面に,風化により,水を含んだ非晶質の薄層ができ,次に,その薄層に亀裂が生じ,イモゴライトの生成をともないながら,直接ギブサイトが結晶すると考えられる. 地名 Okachi 大河内 Hongu 本宮 Kurayoshi 倉吉 Daisen-Cho 大山町 Shuki 秋喜 Hiruzenbara 蒜山原

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被引用文献 (1)*注記

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