同族会社の行為計算否認規定における不当性要件の一考察 : 「行為」と「計算」の解釈を前提に

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タイトル別名
  • A Study on “Wrongfully" of A Disallowance Tax Rule of Manipulated Transaction or Computation by Family Corporation : Based on A Construction of “Transaction" and “Computation"
  • ドウゾク ガイシャ ノ コウイ ケイサン ヒニン キテイ ニオケル フトウセイ ヨウケン ノ イチコウサツ : コウイ ト ケイサン ノ カイシャク オ ゼンテイ ニ

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説明

我が国の税法には、同族会社等の行為・計算を否認する規定が存在する。当該規定が適用されるための要件は、1同族会社の行為又は計算であること、及び2税負担を不当に減少させる結果になると認められること、である。本稿では、当該規定の中でも、法人税法132条1項1号、所得税法157条1項1号、相続税法64条1項を対象に、要件2「不当に」の解釈を検討した。「不当に」の解釈を検討するために、要件1についてもその解釈を検討することが必要である。なぜなら、要件1を文理解釈すれば、行為と計算は別個の概念であり、「同族会社の行為で……不当に減少する結果になると認められる場合」と「同族会社の計算で……不当に減少する結果になると認められる場合」の二つのケースが存在するからである。そして、行為が不当である場合と計算が不当である場合では「不当に」の解釈は異なる可能性がある。にもかかわらず、これまで、「不当に」の解釈は「純粋経済人の行為として不合理、不自然なもの」とするものが一般的であり、上記二つのケースを想定した解釈は示されてこなかった。そこで本稿では、行為が不当である場合及び計算が不当である場合とはいかなる場合であるのかを明確にするため、「不当に」の解釈を検討する前に、「行為」と「計算」の解釈を検討した。裁判例や学説を検討した結果、「行為」は「行為により生じた事実」、「計算」は「事実に基づく計算」であると提示した。そして、この「行為」と「計算」の解釈を前提に、裁判例を行為が否認された裁判例及び計算が否認された裁判例に分類し、行為が不当である場合の「不当に」の解釈及び計算が不当である場合の「不当に」の解釈をそれぞれ提示した。

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