保守のアジェンダへの女性・平和・安全保障の再構成 ― カナダのハーパー政権を事例に

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タイトル別名
  • The Reconstitution of Women, Peace and Security as a Conservative Agenda: The Case of the Harper Government in Canada
  • ホシュ ノ アジェンダ エ ノ ジョセイ ・ ヘイワ ・ アンゼン ホショウ ノ サイコウセイ : カナダ ノ ハーパー セイケン オ ジレイ ニ

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説明

女性・平和・安全保障(以下WPS)は、武力紛争下のジェンダー不平等の規範と構造に基づく暴力を安全保障問題として認識し、取り組むことを国際社会に可能にした。その構想は、女性の平和運動やフェミニスト研究から生じたものだが、近年、男性やLGBT の人々への対象の拡大と軍事主義への傾倒という二つの変化にさらされている。これらの変化が組み合わさる時、近い将来、LGBT の人々の救済を表向き訴えることによって、自らの敵に対する軍事力の行使を正当化するために、WPSに依拠する政府も現れることが懸念される。本稿は、その潜在的なリスクの下地を解明するために、カナダのハーパー政権下のWPSを考察する。同政権は、フェミニズムに批判的でホモフォビックな支持層のために、もともとWPSとLGBTの人権にそれほど関心を示してこなかった。ところが、次第に援助を通じて女性のニーズに対処するようになり、さらに同性愛者を法的に取り締まる政府を批判し始めた。本稿は、ジェンダー・エッセンシャリズムとピンクウォッシングの観点から、ハーパー政権が保守的なアジェンダとしてWPSを再構成するなかで、いかにLGBT問題を安全保障化するのか探究する。

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