合理主義と構成主義の相関性について- 国際機関の研究事例より考察する-

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タイトル別名
  • ゴウリシュギ ト コウセイシュギ ノ ソウカンセイ ニ ツイテ コクサイ キカン ノ ケンキュウ ジレイ ヨリ コウサツ スル
  • Which Holds the Most Promise? Rationalism and Constructivism in Analyses of Institutions

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抄録

type:P(論文)

ここ十数年における国際関係学の理論研究では、合理主義(rationalism)と構成主義(constructivism)の有用性と比較優位性が主要な研究課題の一つであるが、その議論の多くは、両者を相反するものと見なす事を前提とし行われてきた。本論文では、両学派による国際機関の諸研究を事例に挙げ、まず各学派が国際関係に対する考え方の基本としている理論的前提と、国際組織の有用性を論じる際の理論的仮説を分析する。特に、国際組織の研究において両学派の間に存在する三つの主な対立点に焦点をあて、それらの観点から両者の有用性と比較優位性を論じる。具体的な分析観点とは、以下の三つである。 1) 国家の行動に対する国際組織の影響力の源泉は物質的な実利にあるか、あるいは理念や規範にあるのか、2) 国家による国際組織への帰属と順守は道理的論理に基づくものか、あるいは戦略的論理に基づくものか、そして 3) 国際組織における国家の行動基準と決定要因を、あらかじめ決まったものであり独立変数として設定するか、あるいは形成され、変容する対象であり従属変数として見なすか。これらの検討事項に照準を合わせた分析を通し、合理主義と構成主義の説明力の上でのそれぞれの強みと弱みを指摘するとともに、両者の理論上の潜在的共通性を浮き彫りにする。合理主義と構成主義は必ずしも対立する理論ではない。両学派の間には、理論的仮定上の潜在的な共通点を見出す事もできる。従って、両者を二者択一的にとらえるよりも、むしろ補完的関係にありうる事に着眼した国際組織の分析が、今後の国際政治理論の研究において有益であると結論づける。

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