<論文> メタルポイントに適したグラウンドに関する研究 : グラウンドの表面の硬さとざらつきを中心に

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タイトル別名
  • <Research Paper> A Study on Suitable Ground for Metalpoint : Focusing on the Hardness and Roughness of the Surface on the Ground

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説明

メタルポイントとは描画のために用いられる道具の一種で、金属と画面の摩擦によって金属の粒子が削り取られて画表面に付着することによって描画を行う。画表面に付着する金属粒子の量が多いほど、メタルポイントの描線の発色はより濃く明瞭になり、金属的な光沢の効果が得られるようになる。そのため、まず重要なのはメタルポイントで十分な発色を得ることができ、尚且つ滑らかに描ける描画面を調整することだと言える。本稿では、このような顔料と媒材を混合して作成された塗膜の層にグラウンドという語を適用して論述する。本稿は絵具を用いて行う絵画制作では下地に当たる部分であるグラウンドに着目し、よりメタルポイントでの描画に適したグラウンドの条件を客観的に明らかにすることを目的としている。論考の主軸としては特に表面の硬さとざらつきという2つの項目に焦点を当てて行った実験と考察についてまとめている。まず硬さについて、各種の顔料と媒材でグラウンドのサンプルを作成してそれぞれの硬さの測定を行い、描画のしやすさと硬さの相関性について検証した。その結果、より硬いグラウンドの方が発色が良くなるということがはっきりと確認できた。ついで表面のざらつきについて、使用する研磨剤と顔料の粒子径の2点に着目して検証し、望ましい状態にするための条件を明らかにした。最後に、これらの実験から得られたより適したグラウンドの作成を筆者自身の制作過程に応用し、本稿での研究結果の確認とした。

収録刊行物

  • 芸術学研究

    芸術学研究 23 1-10, 2018-12

    筑波大学大学院人間総合科学研究科

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