抄録
本稿は、筆者が2011年9月24日に富山県中新川郡立山町芦峅寺で開催された布橋灌頂会に参加した際の体験を詳細に報告するものである。平安時代から立山は地獄や浄土のある地として知られ、山岳信仰の霊場であった。しかし、女性は不浄であるとの理由から山への登拝が禁じられており、布橋灌頂会はそのような女性への救済儀礼として、江戸時代に栄えた仏教儀礼である。儀式は擬似的な死と生まれ変わりの体験であり、五来重によって擬死再生儀礼の法要として位置付けられている。この布橋灌頂会は現在も開催されており、筆者は現代における布橋灌頂会に参加する機会を得ることができた。本稿は、布橋灌頂会に関わった方への開き取り調査や筆者の体験とリハーサルの見学をもとにして、実際の儀式内容や周囲の環境など儀式の全体像を報告するものである。そして儀式の体験を通して得たことをもとに、文献史料からだけでは知り得ない時代の布橋灌頂会を理解する布石としたい。そのため、筆者の布橋灌頂会の体験を詳細に記述することも自的とする。
収録刊行物
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- 名古屋大学人文科学研究
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名古屋大学人文科学研究 41 69-80, 2012-03
名古屋大学大学院文学研究科
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390572174609480960
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- NII論文ID
- 120005672347
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- HANDLE
- 2237/23263
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- ISSN
- 09109803
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可