<論説>近代中国における日系漢字紙の宣伝と筆禍 --一九二七年の『盛京時報』筆禍事件をめぐって--

  • 徐 璐
    京都大学大学院文学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Propaganda and Calamities Sparked by Incendiary Writings in Japanese-owned Chinese-language Newspapers in Modern China, Focusing on the Calamitous Incident Caused by the Shengching Shihpao in 1927
  • 近代中国における日系漢字紙の宣伝と筆禍 : 一九二七年の『盛京時報』筆禍事件をめぐって
  • キンダイ チュウゴク ニ オケル ニッケイ カンジシ ノ センデン ト ヒッカ : イチキュウニシチネン ノ 『 セイキョウ ジホウ 』 ヒッカ ジケン オ メグッテ

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抄録

本稿は、近代日本の対中宣伝と紛争について、日本人が中国で経営していた漢字新聞を手掛かりに解明を試みるものである。行論では、満洲を舞台とした日系漢字紙である『盛京時報』の筆禍事件を中心に、それをめぐる経緯と日中交渉を明らかにし、日中関係への影響と歴史的意義を示した。『盛京時報』は一九二七年六月に北伐戦争中の奉天軍戦況に関する記事を掲載したことで、中国官憲に購読を禁止された。元より新聞業界の騒ぎに過ぎなかった同件は、在奉天総領事吉田茂の対中強硬策の一環として利用され、「満蒙懸案」の一つに取り上げられ、日中間の外交問題に発展した。が、世論を煽ることで中国側から譲歩を引き出し、日中問題を早期に解決するという本来の目的とは逆に、中国官憲の反感を買い、日中交渉をさらに難航させた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 103 (5), 679-710, 2020-10-20

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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