書誌事項
- タイトル別名
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- 『 ゲンジ モノガタリ 』 ユウガオカン ノ サイケントウ : 「 ヒトリ ゴツ 」 ノ イミ ニ チュウモク シテ
- A study on hitorigotsu of Yugao in "Genji-Monogatari"
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説明
夕顔をめぐる謎は、どうやら随身の勘違いから始まったようである。源氏の発した「をちかた人にもの申す」という問いは、随身にではなく夕顔側(遠方人)に向かって発せられたものだったが、源氏が顔を出してさしのぞいていたこと、そして古歌の一節が朗詠されたことで、つい随身は自分に質問されたと思い込んで、「夕顔です」と答えてしまったのだ。そのため物語展開が変更されたことで、読者の誤読が生じてしまったのである。 本稿では「ひとりごつ」に注目してみた。この「ひとりごつ」は、決してつぶやきめいた「独り言」ではなく、歌の一節が朗詠されたものであるから、その声は一部始終を覗いていた夕顔側にも届いていたはずである。だからこそ夕顔側もそれに応じて、「心あてに」歌を返したのである。このように解釈すれば、決して夕顔側(女側)から歌を読みかけたわけではなかったことになる。 看過されていた「ひとりごつ」に注目することで、従来の誤読の様相がはっきりと見えてくる。要するに夕顔巻の謎は、随身の勘違いから発生したものであり、それを読者が誤読したことが最大の原因だったのである。
収録刊行物
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- 同志社女子大学大学院文学研究科紀要
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同志社女子大学大学院文学研究科紀要 12 13-29, 2012-03-30
京都
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390572174709611264
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- NII論文ID
- 120005651668
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- NII書誌ID
- AA11551704
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- ISSN
- 18849296
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- NDL書誌ID
- 023740003
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
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