がん患者が有する倦怠感のアセスメントと、そのアセスメントに基づく看護介入後の倦怠感の変化

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  • The Effects of Nursing Intervention Based on Assessment of Fatigue in Cancer Patients

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背景:多くのがん患者が治療経過のなかで倦怠感を経験するが、それに対する看護介入やアセスメントは確立されていない。そこで、本研究において、がん患者の倦怠感に特化された評価スケールを用いて多面的に評価し、それによるアセスメントに基づいた個別の看護援助を行うことで、がん患者の倦怠感の軽減に寄与するかの検討を行った。 方法:X年9月から翌3月に、A地域がん診療連携拠点病院の消化器内科腫瘍内科混合病棟に入院した倦怠感を有するがん患者のうち、評価スケールの記載が可能であった30名を介入対象とし、同意を得た。診療情報録より基本属性の情報収集を行い、介入群はCancer Fatigue Scale(以下CFS)による調査を施行した。結果と援助内容について患者と面談を行い、倦怠感による苦痛や日常生活上困難に感じていることなどを聞き取り、それらの結果を踏まえ、看護計画を立案・実施した。1週間を目安に再度CFS による倦怠感の評価と介入に対する聞き取り調査を実施し、看護計画の修正・継続を行った。なお、適格条件を参考に直近に入院していたがん患者30人を無作為に抽出し非介入群として扱った。本看護研究は倫理審査委員会承認済みであり、得たデータにつき探索的な解析を施行した。 結果:介入群30名の年齢中央値(範囲)は67(35-84)歳、男性19名、女性11名であった。PS2未満が12人、PS2以上が18人であった。入院理由は化学療法目的や症状緩和目的など多岐に渡っていた。介入群では有意なPSの改善(p 0.002)およびCFS総合点が改善する傾向(p 0.064)を認めた。項目別検討では、身体的介入があることで身体的倦怠感の改善が認められる(p 0.046)一方で、精神的倦怠感の改善は精神的介入の有無への関係は認められなかった(p 0.157)。 結論:探索的な解析ではあるが、CFS等を用いた多面的なアセスメントと個別的な看護計画の立案・実施により、がん患者の倦怠感や全身状態が改善する可能性が示唆された。

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