江戸時代後期の堕胎・間引きについての実状と子ども観(生命観)

書誌事項

タイトル別名
  • The Lives of Children and the Conditions of Abortion and Infanticide in the Late Edo Period
  • エド ジダイ コウキ ノ ダタイ ・ マビキ ニ ツイテ ノ ジツジョウ ト コドモミ(セイメイカン)
  • The Lives of Children and the Conditions of Abortion and Infanticide in the Late Edo Period

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抄録

本研究の目的は、江戸時代の人口調節としての間引き・堕胎の実態、また通過儀礼としての産育習俗から見た日本の子育て、日本人の子ども観について文献を通して考察することである。歴史を通して見えてきたのは「堕胎・間引き」は全国的に慣習として存在したこと。堕胎法としては子宮収縮作用のある植物を用いる・冷水に浸かるなどであった。間引き法としては濡紙を口に当てる、手で口をふさぐなどの直接的なものとネグレクトなど間接的方法があった。これらの根底には貧しさがあり、親たちが生きるためのやむにやまれぬ選択であった。そして、そこには「7歳までは神の領域に属するもの」として「子どもを神に返す」という古来の日本人の精神があった。また、七五三に見られる通過儀礼は、子どもが無事に生まれ、無事に育つことの困難な時代にあって不安定な時期を乗り越えた節目の儀礼であった。そこには生まれた子どもを慈しんだ日本人の英知と祈りがあった。

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