スギ若齢木からの平割材における曲げ弾性係数の材内分布に関する統計的解析

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Statistical Analysis on Variation in Modulus of Elasticity in Bending within Pieces of Small Lumber from Young Sugi (Cryptomeria japonica D. Don)
  • スギ ジャクレイボク カラ ノ ヘイカツザイ ニ オケル マゲ ダンセイ ケイ

この論文をさがす

抄録

九州大学粕屋演習林産の20年生および30年生若齢スギ(Cryptomeria japonica D.Don,品種:アヤスギ)の樹幹各部位から挽かれ,断面25×50,35×50と45mmx50mm,長さ3.2mの生状態ならびにそれらを気乾状態にした実大寸法の平割材について,その材長方向にわたる曲げ弾性係数(MOE) 分布を部分測定スパン20cm,測点間隔10cmの部分中間たわみ測定法によって求めた.ならびに,MOEに直接関与する力学的指標としての断面二次モーメントについて,各部分測定スパン内の全断面に対する節などの欠点部の比,すなわち欠点断面二次モーメント率(ROI)の材長方向分布を求めた.そして,それらのMOEとROIの材長方向分布を統計処理し,それぞれの標準偏差(SD_E,SD_I),および変動係数(CV_E ,CV_l)を求め,樹幹各部位から木取られた実大寸法の平割材の諸条件下における曲げ弾性係数の材長方向分布について検討した.研究結果を要約するとつぎの通りである.(1)樹幹半径方向中央部(髄側)からの材では,MOEは材長方向に低い値で分布し,ROIが材長方向に比較的均等に分布するためにSD_EおよびCV_E左は小さい.一方,樹幹半径方向外周部(樹皮側)からの材では,MOEは高い値で材長方向に分布し,ROIが材長方向に不連続的に分布してSD_EおよびCV_Eは大きい.(2)一番玉丸太の外周部からの材の根元寄りにおいてMOEがROIの大小にかかわらず必ず低い値をとる.それ以外では欠点断面二次モーメント率(ROI)の材長方向分布に対応して,MOEが変動する.(3)とくに,大きな節やあて材部での著大なROI値に対応して,材長方向の同一部位でMOEの異常に激しい低減が認められる.(4)実用場面でも起こりうる生状態から気乾状態(ここでは含水率14%)への移行によって,多くの場合にSD_E,CV_Eとも増大する.(5)構造設計上の現場施工における材の取付け型式として,断面に対する負荷方向がflatwise (長幅負荷:ここでは板目面負荷)とedgewise (短幅負荷:ここでは柾目面負荷)とでは,後者の方が一概にSD_E,CV_Eとも大きいことが認められる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ